地方移住を考えたことはありますか?
コロナ禍でリモートワークの普及に伴い
地方移住がブームとなり
今はやや落ち着いた感がありますが
それでも依然として
当事務所には地方移住のご相談があります。
専門職や自営業の方など
働き場所が制限されない
現役世代の方からのご相談もあれば
定年退職を迎えられ
セカンドライフに移住を希望する方からの
ご相談もあります。
移住先はさまざまですが
北は北海道から
南は沖縄まで
東京に近いところでは
長野や静岡が人気です。
自然豊かな田舎に移住される方もいれば
東京とかわらないほど利便性の整った
地方の主要都市に移住される方もいます。
中には
自然豊かなところで
のびのびと子育てをしたいと
お子様の誕生を機に
ニュージーランドに移住されたお客様も
いらっしゃいました。
ところで
移住するとなると
移住先の住まいを購入するか
賃貸にするか選択肢が分かれるところです。
いずれにしても
移住先での住居費と生活費を
一生涯困らないように
きちんと確保する必要があります。
もしも
現在のお住まいが持ち家であれば
その持ち家を売却して
移住先の住居費や生活費に充当する
という手もあります。
あるいは
いずれ戻ってくるのであれば
住宅ローンの返済が終わった自宅を
賃貸にだして
家賃収入を移住先の住居費に充てる
という手もあります。
もしくは
自宅と別の場所に二拠点生活をするのが理想であれば
持ち家を担保に不動産担保ローンを借りて
その資金で二拠点生活をすることも
場合によっては可能です。
こういうケースでよく利用される
不動産担保ローンとしては
「リバースモーゲージ」が代表的ですが
自宅を担保に資金を借り入れ
老後の生活費や介護施設への入所費用のほか
移住先での住居費などに充てることが可能です。
厳密には金融機関によって
資金使途は制限を受けますが
おおむね
自宅の担保評価額の半分くらいまで
融資を受けることができます。
たとえば
土地・建物の評価が4000万円だとすると
その半分の2000万円くらいまで融資を受けられます。
金融機関や商品にもよりますが
一般的には
一括で融資を受けるのではなく
毎月10万円を20年間にわたり受け取るといった具合に
分割で融資を受けるかたちです。
借りている間は元金の返済は不要で
死亡した時に金融機関に不動産を差し出せば
よい仕組みになっています。
金融機関が自宅を売却後
余剰資金があれば相続人に返金されます。
借り入れ中に
利息の支払いは発生しますが
元金の返済がないので
今のような低金利では
月々の支払額をわずかな金額に抑えることが可能です。
不動産担保ローンというと
借金ということで
後ろ向きなイメージを持たれる方もいるかもしれませんが
住宅ローンと一緒で
ようは使い方次第です。
リバースモーゲージは
不動産という資産を自分たちの代で使い切るといった
考え方をする人にマッチします。
知る人ぞ知る不動産有効活用の方法ですが
最近では利用者が増えており
生きている間に
自分達で築き上げた不動産資産を現金化できるので
場合によっては
資産の有効活用として知っておきたい手段です。
ただし
あまり早い年齢でリバースモーゲージを借りてしまうと
早々に融資額の上限に達してしまい
その後、亡くなるまで利息の支払いがかさんだ結果
返済ができなくなり
住む場所も失うといったリスクもあるので
借入れをするタイミングをきちんと見定める必要があります。
話がリバースモーゲージの話にそれてしまいましたが
移住するのであれば
移住先の住居費と生活費を一生涯確保する必要があるという
話でした。
当事務所では
持ち家に居住中の方から
移住の相談があった時に
まずは移住資金を調達する手段として
自宅を売却するのがいいか
賃貸に出すのがいいか
はたまた別の選択肢があればその方法も検討し
経済合理性の面で優劣を比較することをしています。
さらに
移住先では
購入するべきか
賃貸でいくべきか
どちらが経済合理性がよいか
数値で比較することをしています。
各家庭によって
経済状況が異なりますし
保有している不動産も
移住先も異なるので
個々にシミュレーションで判断するしかなく
一概にどちらが正解という
模範解答はありません。
こうした移住の相談がちょこちょこ寄せられるので
首都圏だけでなく
地方のマンションの動向もウォッチしているのですが
先週末、沖縄に行ってきました。
沖縄の銀行の行員さん向けに研修を
させてもらいに行ったのですが
ついでに沖縄で人気のマンションというのを
いくつか見てきました。
まず最初の感想としては
価格の高さにとにかくびっくりです!
地方の主要都市部でも
駅近にタワーマンションが続々と建てられており
地元の富裕層が買いに動いているので
すぐに売れるというのは以前から聞いていたのですが
実際に建設現場とモデルルームに行って
肌でそれを感じました。
那覇市内で特に人気のエリアである
新都心では
80㎡の中古タワーマンションが
8000万円台で取引されていたり
新築マンションに限っては
70㎡台が8000万円台
100㎡越の広めの住戸で1億円超えする
マンションも出ています。
東京のマンションと変わらない値段です。
もちろん
東京ではもっと高い物件もありますが
正直、沖縄でもここまで高騰している価格に
購入者がついてきているというのは
驚きでした。
東京からの移住者もいますが
メインは地元の富裕層が買っているとのことでした。
ところで
首都圏で自宅を持っていた人が
セカンドライフに地方都市に移住する場合
これまでであれば
自宅を売却した資金で
移住先の購入費と老後の生活費を捻出できるケースも
多くありました。
それが今では
地方でも都市部では地価が上がり
建築費が高騰しているので
新築を購入するとなると
難しいかもしれません。
そうなってくると
たとえば移住先で
10年~せいぜい20年程度しか住まない予定であり
マンションに住みたいのであれば
購入ではなく
賃貸の方が経済合理性は有利かもしれません。
それこそ
自宅を賃貸に出して
その賃料収入で一定期間移住する戦略です。
なぜなら
売買価格が高騰しているのに比べると
賃料はさほど上がっていないからです。
一方で
移住先で今後30年~40年永住する予定であり
都市部から離れた田舎でよければ
いっそ自宅を売却したお金で
新居を買った方がいいかもしれません。
田舎では土地の取得費がほとんどかからないので
家を買い替えても手元に資金が残ることが
期待できるからです。
はたまた
話が少しグローバルに広がりますが
海外移住ということであれば
たとえばマレーシアに住むという選択肢もあります。
クアラルンプールでは
2LDKのプール・テニスコート付のコンドミニアムに
月額15万円くらいの家賃で住むことができます。
年間契約をすると
月額9万円くらいでもレンタルが可能です。
さらに物価が安いので
食費やその他の生活費は6万円程度あれば
生活できるので
家賃と合わせても21万円くらいで
1カ月生活することができます。
21万円というと
1ヵ月の老後夫婦の年金収入の平均と同じ額です。
(出所:2022年総務省家計調査のデータ)
さらに
持ち家があって住宅ローンの返済が終わっている老後夫婦でも
日本では1ヵ月の支出の平均額が27万円程度であることを考えると
(出所:2022年総務省家計調査のデータ)
日本に持ち家をもったままで
年のうち半分は
マレーシアでコンドミニアムを借りて生活するというのも
現実的に可能そうです。
例えばの話で
マレーシアに移住という話をしましたが
移住先でかかる住居費については
住む場所や住居の種類
また購入するのか賃貸でいくのかなど
によってまちまちです。
大事なことは
移住した後の先々の生活を予想し
一生涯、お金が尽きることがないよう
事前にしっかり計画を立てることです。
具体的には
移住した場合のキャシュフローを作成し
100歳まで貯蓄が尽きることがないか
お金の流れを確認してみてください。
その上で
移住先の場所を選択したり
賃貸にするか持ち家にするべきか
決めていけば移住で失敗することは防げそうです。
できれば
地縁のない場所に移住する場合は
即購入ではなく
お試し期間として
しばらく賃貸に住んでみることも
おススメします。
セカンドライフに移住をしてみたいと
考えている方は
まずは定年退職までに自宅の
住宅ローンを完済することを目標にすると
その後のライフプランの選択肢が増えます。
住宅ローンの返済にはコツがあって
資産運用と節税を上手に取り入れることで
完済までのゴールをショートカットすることができます。
住宅ローンは借りるのは一瞬で簡単ですが
返すのは20年・30年と続く長距離走なので
よほど大変です。
なのでできる限り
効率良く省エネ返済をするように
してください。
沖縄の銀行員の方向けの研修では
こうした正しいローンの活用方法と賢い返済方法について
お伝えしてきました。
私自身もセカンドライフに移住することを
ちらっと考えており
今後もいろいろなエリアの物件のリサーチを
続けたいと思っています。